猶予分は追納すべき?国民年金と学生納付特例制度

2022/10/14

CollegeLife

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大学生の間の国民年金保険料猶予分は追納すべき?

大学・大学院に在学している間は、国民年金の支払いを「学生納付特例」を利用する事で、“猶予”を受ける事ができます。
本記事では、卒業後に追納をするべきなのか、について議論していこうと思います。

資産形成に自信がないなら学生納付特例猶予分の保険料を追納すべし

大学生の間、学生納付特例を利用して納付猶予してもらった分の国民年金保険料はきちんと追納するべきでしょうか。
いきなりですが、結論です。
  • 資産形成に自信が無いなら自己責任の下で追納すべし
  • 資産形成に自信があるなら自己責任の下で追納しなくても良い
なぜそう思うのか、について説明していきます。

そもそも追納しなくても未納とはならない

そもそも論ですが「追納」をしなくても「未納」にはなりません。「未納」となる為には「学生納付特例」などの制度を利用せず、無断で年金支払いを滞納する必要があります。
  • 「未納」:年金支払いを無断滞納
    • 受給資格期間への算入なし
    • 老齢基礎年金の 年金額への反映なし
    • 障害基礎年金、遺族基礎年金の受給資格期間への算入なし
  • 「猶予」:制度を利用して正式に支払わない事を許されている
    • 受給資格期間への算入あり
    • 老齢基礎年金の 年金額への反映なし
    • 障害基礎年金、遺族基礎年金の受給資格期間への算入あり
  • 「免除」:制度を利用して正式に支払わない事を許されている
    • 受給資格期間への算入あり
    • 老齢基礎年金の 年金額への反映あり
    • 障害基礎年金、遺族基礎年金の受給資格期間への算入あり
(国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度(日本年金機構))
「未納・滞納」とはなりませんが、その期間中に支払っている人と比較して将来支給される年金額が少なくなります。
また、追納は義務ではありません。将来の受給額を増やすための"権利"です。
(出典:年金業務の運営に関する行政評価・監視結果報告書-追納制度の利用の促進(109頁))

大学在学中に学生納付特例で猶予される保険料

大学在学中に学生納付特例を利用した場合、猶予される年金保険料は総額で幾らになるでしょうか。
年間の国民保険料を約20万円とすると、大学2〜4年生分の合計は約60万円になります。修士課程(2年)まで進むと約100万円になります。

年金受給額の計算

年金受給額は以下の式で計算する事ができます。
「年間受給額=(老齢基礎年金満額)・国民年金保険料の納付月数/480ヶ月」
条件は次の様に設定して具体的に計算してみます。
  • 猶予期間は5年
  • 年間支払い額が20万円
  • 今から40年後の老齢基礎年金満額が3万円(仮定)
  • 年金保険支払い期間は20歳から60歳
5年間の国民年金(猶予分)を追納しない場合、「30,000・(420/480)=26,250円」となります。
全額支払った人は満額貰えます。
追納しないと「3,750円/月」ほど、年間で見ると「45,000円」ほど少なくなるわけです。
22年以上年金を受給し続けると「全額支払ってきた人」は「100万円を追納せずに貯金している人」よりも得する事になるわけです。(※老齢基礎年金満額が3万円まで下がったと想定して計算)

追納せずに年利5%の投資信託で運用すると!?

追納せず貯金した場合は、長い目で見た場合、「しっかりと払ってきた人・追納した人」よりも損をすることになります。
では、投資信託で長期積立分散投資をした場合はどうなるでしょうか。
条件は次の様にします。
  • 毎月0.5万円
  • 16年間運用
  • 年利5%
  • 全世界に分散投資
  • 税金などは考慮しない
金融庁の「資産運用シミュレーション」で計算を行ってみた結果、16年後には「146.6万円」という結果が出ました。
そのまま残り14年間取り崩さず運用し続けると、さらに増える可能性があります。
これだけを考慮すると、「追納」をせずに運用に回した方が賢明であると言えます。

投資にはリスクがある

当たり前ですが、投資にはリスクがあります。
今の資産運用の結果予想は「世界経済が成長し続ける」という前提のもとで成り立っています。
  • 世界人口の減少に伴い経済縮小
  • 資本主義の終焉
  • 大規模な災害
などが起きる可能性はゼロとは言えません。
そうなった場合「運用失敗で減額分を賄えない」という事になり、生活に大きく支障をきたす可能性があります。

日本領土・領海に資源が発見されて景気が回復する可能性

国内の領土あるは領海に大量の資源が発見され、それによって経済が盛り上がる可能性も否定はできません。
その場合、老齢基礎年金満額が増額される可能性もあるわけです。そうなると「追納しなかった分」だけ損をする可能性があります。

最善は無理せず追納しつつ運用もする

大学生の間に「学生納付特例」制度を利用し、納付を猶予してもらった分の国民年金保険料を追納するべきか、についてお話してきました。
筆者は「無理はせず可能な限り追納し、運用もしっかりと行っていく」が最適解だと思っています。
  • 人口増加に急に転じて年金受給開始年齢の時にはむしろ増額される
  • 国内に大量の資源が発見されて経済が潤い増額される
といった思考は楽観的過ぎるもので、「老齢基礎年金満額はこれからも下方修正されていく」と考えるべきだと思っています。
とはいえ未来はどうなるかは誰にもわかりません。
どっちに転んでも良いように「自己責任の下、無理はせず可能な限り追納し、運用もしっかりと行っていく」で良いと筆者は考えています。

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